日本の英語学習の問題

日本人の英語レベルは非常にお粗末です。

しかし、その問題は日本が地理的に極東に位置するからでも、日本語が欧州言語の違いが大きいからでもありません。

もちろん日本人が持つDNAの問題でもありません。

英語を教える方法、教える先生の問題です。

日本の外国語学習の問題

日本の外国語学習は明治に始まった訳ではありません。

日本は文字を持っていなかった時代は中国語をそのまま使っていました。しかし、それは大変だと言う事で、漢字を訓読みにして理解しやすいようにしました。

漢文訓読の影響

言語を理解するとき、一語一訳と捉えてしまうのは正しい言語の理解の方法ではありません。

英語の”Thank you.”が「ありがとう」の意味になるのは一語一訳ではありません。「ありがとう」全体で”Thank you.”の意味があります。Thankに対応する日本語はありません。

言語はそれぞれの表現全体が意味を持っているので、その全体で理解しなければなりません。

しかし、和文英訳や英文和訳では一語ずつ訳しております。この一語一訳の間違いは漢文を取り入れた時に始まっています。

我々が中国語を理解する時には、漢字を日本語的に読む漢文訓読となりました。漢文を日本的に読むために、それぞれの漢字が日本語の意味を持っていたのです。

蘭学を学ぶ時も、漢文訓読的蘭語解読法となり、漢文の学習方法が取り入れられました。そして江戸の末期には、その蘭学の師範達が真っ先に英語を学び、漢文訓読的な解釈がなされました。ジョン万次郎の最初の英会話本にも漢文のレ点や1.2点が使われ、単語毎に訳されています。

その一語一訳の間違いは21世紀になってもそのまま続いております。

一語一訳の問題

蘭学ではオランダ語の単語を漢字を同じように扱いました。

其々の単語を訳して日本語で理解できるようにしたのです。

その蘭学者英語を学びましたから、オランダ語の単語をと英語の単語と同じように扱いました。一単語ずつ意味を持つ事になります。

Oh my God.”は「私の神」と言う意味ではなく、「これは大変だ」と言うような意味です。英語のGodなど日本語では何の意味を持っていないのです。

Oh my God.”を使うのであれば、単語単位で訳していては絶対に使えません。全体の意味を理解して、その使い方を学ぶ以外に方法はありません。

しかし、これは日本語を学ぶ時にマネをして覚えているのですから、特に新しい方法ではありません。

言語システムとは

言語システムは文法のようなルールにより単語が並んだり、意味を持つものではありません。Oh my God.”のように意味を持つ表現が無数に存在する事例基盤のシステムです。

言語は文法のような使い方を学んで、ルールに基ずく作文などはできないのです。文法は言葉のルールではなく、同じようなパターンに過ぎません。だから文法には多くの例外が存在します。文法は多くの表現事例を覚えた後に発見されたに過ぎません。

その文法を先回りして学ぶのは、言語習得にはあまり意味の無い事なのです。

グーグルの人工知能を使った翻訳システム

グーグルの人工知能を使った翻訳システムは文法を使っておりません。グーグルは文法には例外が多く翻訳はできないと言っています。

多くの対訳ファイルを持つ事例基盤のシステムです。多くの対訳からパターンでマッチングをします。

人間の脳の翻訳も文法基盤ではなく、多くの訳を使う事例基盤だと思います。

理想の英会話学習