言語を理解するとき、一語一訳と捉えてしまうのは正しい言語の理解の方法ではありません。
英語の”Thank you.”が「ありがとう」の意味になるのは一語一訳ではありません。「ありがとう」全体で”Thank you.”の意味があります。Thankに対応する日本語はありません。
言語はそれぞれの表現全体が意味を持っているので、その全体で理解しなければなりません。
しかし、和文英訳や英文和訳では一語ずつ訳しております。この一語一訳の間違いは漢文を取り入れた時に始まっています。
我々が中国語を理解する時には、漢字を日本語的に読む漢文訓読となりました。漢文を日本的に読むために、それぞれの漢字が日本語の意味を持っていたのです。
蘭学を学ぶ時も、漢文訓読的蘭語解読法となり、漢文の学習方法が取り入れられました。そして江戸の末期には、その蘭学の師範達が真っ先に英語を学び、漢文訓読的な解釈がなされました。ジョン万次郎の最初の英会話本にも漢文のレ点や1.2点が使われ、単語毎に訳されています。
その一語一訳の間違いは21世紀になってもそのまま続いております。